029824 ランダム
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おいしい音たち

西スマトラの思い出 その3

西スマトラで出会った子供たちのことは忘れられません。
皆とても元気で、可愛くて、きらきらした目をしていました。
カメラを向けると、どこにこんなにいるのか、と思うほど、次から次へと
集まってきてしまって、ファインダーに収めるために後じさりした私は、
もう少しで波にザブンと入りそうになってしまいました。


子供たちと、近くの川で泳いだときのことを思い出します。
私達は案内されて、泳げる川に子供たちと行きました。水着になって、
濁った川に入るのはちょっと勇気が要ったけど。
子供たちはあっというまにみんな裸になって、飛び込んできました。
男の子は素っ裸、女の子はちゃんとパンツだけはいていたのが印象に
残ってます。

大勢の褐色の子供たちが、目をきらきらさせて、しぶきを上げてはしゃいで
いる様子は、まるで夢のような光景でした。
自分がここにいて、現実に彼らを間近に見ているということが、とても
不思議でした。
濁った水も、しずくがきらきらしてて、子供たちもきらきら輝いていた
ように思います。


年頃の若い女の子達は、私達の使う洗顔石鹸や、クリームなどにとっても
関心があって、使わせて、とねだられたりしました。
「ファンデーションは何使ってるの?シセイドウ?」なんて聞いてきたり。
おしゃれに関心があるのは一緒ですね。
私達が水着になって川に入ってると、ついてきた若い女性が、なぜか
私達のことをしげしげとながめてます。
イスラム社会に生きる彼女達は、年頃になったら水着になることはないそうです。

ヒンズー教のバリ島を除くと、インドネシアはほとんどがイスラム教。
イスラムって、遠い世界のことのように思えますが、こんな近くにあるし、
また、世界を見るとイスラム圏はとても広いのですよね。
ちなみにchaboは、なぜかイスラム圏にけっこう足を踏み入れてます。

パシルバルー村の後、アイルバンギスというもう少し大きな村を訪れたとき、
学校で英語を習ってるという若い女性と、英語で少し話しました。
日本で働きたい、彼女は真剣なまなざしで訴えました。
それは異国への好奇心などではなく、ここにいても夢のある未来が望めない、
そんなせっぱつまった気持ちが、彼女から感じられました。
日本は彼女達にとって夢の国なのです。


その当時私も若かったので(!? 今も若いですよ~ 10年以上経って
しまいましたが)世代が近い若者と接してみて、やっぱり自分達と同じ
ような、将来への夢や不安を抱えてるのだなあ、なんて最初は思ったのです。
でも最終的に、やはり私達は持てる者、豊かな国の人たち、と彼らの目には
映るのだ、と思い知らされました。
同じ目線で接してるつもりだけど、そうはいかない。

そういう人たちと、どうしたら、本当の意味で友達になることはできる
のだろうか。
持てるものと持たざるもの、そういう関係を取り除いて、相対することは
どうしたらできるんだろう。
そんなことを考えてしまいました。
「援助」という言葉がありますが、何かしてあげる、何かをあげるという
意識では、本当の意味での関係を築けないのでは、とその時私は思ったのです。

スタディツアーでは、村の人々と、どうしたら村がよくなるか、村を豊かに
するためにはどのような手段があるのか、そういったことをPHD協会
職員の方と一緒に、私達も参加して、膝付き合わせて話し合いました。
魚の加工品を作って産業にできないか、そんなアイディアが出たとき、
ツアー参加者の女性達で、煮干によく似た小魚を使って、加工食品を
試作してみてほしいと言われました。
台所を借りて、日本から持参した味噌やしょうゆを使って、ああだ
こうだ言いながら料理を作ったりしたな、と思い出します。


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